飲酒事故では、酒酔い・酒気帯び運転者に酒類を提供した飲食店等に対しても捜査が行われます。
飲酒運転が社会問題化するなか、酒類提供飲食店等に対する目も厳しいものとなって、道路交通法の一部改正(平成19年9月19日施行)により、罰則が定められました。
飲酒運転は犯罪です。提供する側は、より一層飲酒運転根絶に向けて取り組んでください。
駐車場を完備した飲食店などで、お酒を飲んだお客様が平然と自動車に乗り込み運転していく光景がテレビでも報道されましたが、皆さんは、どう思いましたか。
相手がお客様であるがゆえに、どうも対応が消極的になってしまい、ひと声が掛けられなく、お客様の飲酒運転を結果として認めてしまったという経験のある方も少なくないと思います。
飲酒運転により、重大交通事故を起こした人のほとんどは、普段からお酒を飲んでも平気で自動車を運転し、居酒屋やスナックをハシゴすることに罪悪感を持たない不心得者です。
お客様のほとんどは、善良な市民ですが、一部に不心得者がいるのも事実です。
後を絶たない飲酒運転による悲惨な交通事故に「ストップ」をかけるために、皆さんが、勇気をもって毅然とした適切な対応をとっていただくことが大切です。
1.来店時の対応は、どうしたらよいか
1.まず、お客様が、車で来たかどうかを確認しましょう。
席について、注文をとる際に確認するか、入店時に案内をする場合は、その時に確認しておきましょう。
この際、車を利用している事がわかった時点で、お客様がお一人の場合と、グループの場合では対応が違ってきます。
お客様がお一人の場合は、帰りの運転は当然本人になる訳ですから、お酒は提供してはいけません。
どうしても「お酒を飲む」という場合は「お車はどうされるのですか」と質問してください。
ここで、ハッキリ言っていただきたいのは、「運転代行を利用するか、ご家族等に迎えに来ていただかない限りは、お酒をお出しすることはできません」ということです。
※運転代行業者への連絡は、お客様まかせにせず、お店の方で要請するようにしてください。あらかじめ近隣の運転代行業者を把握しておきましょう。
お客様がグループ等の場合は、「帰りは誰が運転するのか」を確認し、その人には、お酒を出さないようにしてください。
また、周囲の人にも理解を求め、お酒を勧めないようにお願いしておくことが大切です。
運転する人をしっかりと把握しておくためにリボンやバッジを着用していただく方法があります。
この方法は、席を移動しても所在がわかるなどきわめて有効であり、お客様の意識付けにもなります。
2.店内での対応は、どうしたらよいか
2.上記で対応したお客様が、途中で飲酒していないかを確認しましょう。
もし飲酒していた場合は、「運転代行を呼ぶか、誰かに迎えにきてもらうか」について、確認してください。
グループ等で来店し、運転を指名されたお客様が、飲酒していた場合は、グループの中で飲酒していない人に運転をお願いしましょう。
グループ全員が飲酒していた場合は、「運転代行を呼ぶか、誰かに迎えにきてもらうか」について、確認してください。
お酒を飲んだのに運転代行等の要請もせず、運転して帰るおそれのあるお客様には、これ以上お酒を出してはいけません。
店長等に報告して、運転代行業者を利用するよう粘り強く説得してください
酒類を提供した人」が負う責任の内容は、以下の通りです。
・ 運転者が酒酔い運転をした場合
→ 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・ 運転者が酒気帯び運転をした場合
→ 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
・ これらの刑罰に加え、例えば酒類を提供した店主が自動車の免許保有者である場合、免許停止または 免許取消しの処分を受ける場合もあり、さらには、運転手が事故を起こして他人に損害を与えた場合には、損害賠償責任を負うこともあり得ます。
実際に、「運転すると知りながら酒を飲ませた」として、飲食店店主が運転免許取消しの処分を受けたという事例があります。件数としては少ないものの、飲食店を経営されている方にとっては、いつ生じてもおかしくない責任です。